Works

既視の街

 用事があって、立川に行った。
 久しぶりに訪ねた立川は、モノレールが走り、駅前には 2階建ての広場が広がる今風の街になっていた。
 広場を歩いていると、前に来た事があるような、見覚えのあるような気分になった。
 なぜだろうと考えると、ある思いが浮かんだ。
「ここは子供の頃に見た未来」だと。
 目の前には、小学生時代に見た手塚治虫やイラストレーターの真鍋博が描いた未来都市があった。
天に向かってそびえる滑らかな高層ビル。チリ一つ落ちていないピカピカの道に、音もなく動くエスカレーター。まさしく、僕が子供の頃に見た未来だった。
 もちろん、マンガやイラストの中を疾走したエアカーや透明のチューブの中を走るリニアモーターカーはない。ちょっと横を見れば、建物が密集し、赤や金色の看板やポスターが氾濫する繁華街があり、映画「ブレードランナー」的な酸性雨が降る混沌とした未来都市の方が近いのかもしれない。
 しかし、目の前の風景を見ていると、「今があの頃の未来なのか。僕はあの頃の未来に生きているかもしれない」という気がした。
 そして、僕は見慣れた未来を訪ね始めた。