Works

ランドマーク

 引っ越した。
 
 十一階の自室の西側の窓から見えるのは、寂れた街には街の唯一とランドマークともいえる結婚式場だった。
 元々は釣堀で、客の要望で食事や酒を出すようになるとそちらの方が本業になった。都内初の結婚式場を開設すると、今度はそっちが本業となり時代に合わせて改築増築を続け、僕の部屋から見える時には、自称ロココ様式建築になっていた。
 そして、今度は再開発でツインタワーマンションに生まれ変わることになった。
 
 僕は結婚式場がツインタワーになるまでを窓から定点撮影することにした。
 自宅の窓から見える景色が一変する機会はなかなかないし、どのように変化するか想像がつかなかったからだ。
 撮影は毎日ではなく、気まぐれにシャッターを押したが、工事は少しずつ進むので写真を撮っていても変化を感じなかった。
 工事が終わり、それまで撮り溜めた写真を見て、日々感じていた以上の変化があったことに驚くとともに、「永遠なものなどなく、形あるものは何時か無くなり姿を変える」という当たり前のことを感じた。
 ツインタワーの次はなんだろう。