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ハワイアンアイランズ

「走らないで高山病になるから」と言われた。
僕は分厚いコートに身を包みながら、ハワイ島の高度4,205メートルのマウナ・ケア山頂でガイドの言葉に頷きながら、「ここは本当にハワイなのか」と考えていた。
 
ハワイはずいぶん昔にオアフ島を訪ねたことがあり、ハワイ=ワイキキという印象が強かったが、マウナ・ケア山での体験は、それを一変させるのには充分だった。
 
ハワイは、多数の島と環礁からなる諸島で、人が住む主要な島でもオアフ島のほかに6つある。
どの島にも美しいビーチがあり、南国の楽園的な魅力がある。
でも、僕が惹かれたのは、それ以外だった。
 
最も大きいハワイ島でも四国の半分ほどしか面積がないのに、不釣合いスケールの巨大火山や大渓谷。
絵に描いたような青い海のビーチから、少し車で走っただけで広がる赤土だらけの乾いた荒地。
ショッピングモールから少し離れた、10年前も10年後も変わらないであろう、閑散とし、少し寂れた田舎町のメインストリート。
 
そこには、ゆっくりとした時間が流れている。
それが僕の「ハワイアンアイランズ」だ。